調査と研究

調査と研究

マラソン中の突然死

●実技型運動負荷心電図の結果、特徴

私は今回3回の100kmマラソン大会、山歩き(ウォーキング)約4時間、ロードレーサーによる100km走(サイクリング)において心電計を装着してその記録を行いました。100kmマラソンにおいては最後まで記録が取れたのは1回だけ、他の2回はそれぞれ60km、20km地点にて機械をはずしました(これは発汗多量による機械の故障を考えた為です)。その結果をまとめてみました。

【3種類の運動負荷心電図の結果】

1)心電計、電極は胸部に固定しているので、上記運動程度では心電計を装着している為に特に運動制限するようなことはありませんでした。

2)多少の発汗程度では心電計を保護したりすることで問題なく記録が取れました。この心電計は防水機能がないので、水に濡れることは禁止されています。

3)マラソン程度の上肢の運動(腕ふり)では心電図の記録に大きな影響はありませんでした。

4)マラソン中は心拍数がかなり多い状態(150/分前後)で安定していました。山歩き、自転車では下り時などは心拍数が減少してくるためか変動がより大きくでました。

5)3種類の運動で同じくらいの最多心拍数が出現(170台〜180台)しましたが、心拍数の総数(運動中1時間あたり)はマラソンが最多でした(マラソン時は1時間あたり心拍数が9500〜10000、サイクリング時8300〜8800、山歩き時8000前後)。

6)最多心拍数はマラソン時よりサイクリング時や山歩き時の方がむしろ多くでました(マラソン時の最多心拍数は179、サイクリンク時は182、山歩き時は182)。

7)不整脈の出現においては山歩き時はほとんどありませんでしたが、心室性期外収縮がサイクリング時の後半と飛騨ウルトラマラソンにおいても後半顕著に出現しました。これは危険な不整脈ではありませんが、同じような心拍数が続いているかもしくは減少しているにもかかわらず後半のみに出現しているところに重大な意味があるかもしれません。奥熊野ウルトラマラソンにおいてもスタートしてからしばらくは不整脈の出現はありませんでしたが、3時間後から多く出現しています。なお、この不整脈に関してはアーティファクトも含まれることも多いので、自動解析に頼らずに圧縮心電図から自分の目で確かめたものだけをカウントしました。

8)誘導はCM5とNASA誘導ですが、チャンネル2のNASA誘導は所々で基線の揺れが大きくなり、記録不良が見られました。CM5誘導は体動にもかかわらず全般にきれいな記録が得られました。なお、自動解析では基線の大きい揺れの時、心室性期外収縮と誤ってカウントしているのもありました。

【トレッドミル運動負荷心電図に比較して】

1)負荷をアップすれば上記運動時より最高心拍数が得られました(トレッドミル時最高心拍数は204/分)。

2)ただし、心拍数が多くなる時(ウォーキングからランニングに変化すると)トレッドミル時には心電図ではきれいな記録が得られませんでした。

3)心拍数がより多くなってもトレッドミル時には不整脈の出現はありませんでした。

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