マラソン中の突然死
●マラソン参加選手のプロフィール
【マラソン参加選手のプロフィール(年齢と性別)】
マラソン大会に参加したことがない人はテレビで中継される有名なマラソン大会(福岡国際、東京女子マラソン等)や駅伝大会(高校駅伝、箱根駅伝等)しか思い浮かばないのではないでしょうか。私が参加している市民マラソン大会はあの競技性のあるスポーツとは別世界です。ではどのような人たちがその市民マラソン大会に参加しているのでしょうか。
ジングルベルマラソン (10km) 2002年12月 |
南阿波サンライン (42.195km) 2001年11月 |
丹後ウルトラ (60、100km) 2002年9月 |
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0〜39歳 男性 | 90人 | 239人 | 414人 |
0〜39歳 女性 | 37人 | 39人 | 60人 |
40〜59歳 男性 | 162人 | 297人 | 671人 |
40〜59歳 女性 | 34人 | 34人 | 120人 |
60歳〜 男性 | 23人 | 55人 | 75人 |
60歳〜 女性 | 1人 | 4人 | 6人 |
合計 | 347人 | 668人 | 1346人 |
10km、フルマラソン、ウルトラマラソンの定番である100km大会を例にとってみました。ジングルベルマラソンは2002年12月23日に行われたものです。場所は鳴門市大麻町。ここの10kmはアップダウンが強いタフなコースです。南阿波サンラインは私は3年連続で参加しているのですが、毎年交互に日和佐町と牟岐町のどちらかからスタートし、折り返し帰ってくるコースです。ここもあのサンラインはかなりハードなコースです。これは昨年のデータです。そして、ウルトラでは人気の高い丹後ウルトラマラソンを取り上げてみました。60kmの部と100kmの部の2種目があります。京都市丹後半島を舞台とした風光明媚ですが、100kmでは3つの峠越えがあるきついコースです。
南阿波サンラインマラソン(フル)参加者の内訳
どの大会においても一番参加人数の多いのは40〜59歳男性の中高年のランナーです。このグループでは競技性をもって参加しているのはごく一部だと思います。大半は優勝や入賞を狙って競争して走っていません。10Kmやフルマラソンでは自己ベストを狙うのが一番の目的であったり、ウルトラでは勿論完走を第一として走っているものと思います。ここで注目したいのはこのような市民マラソン大会では中高年ランナーが主役であるということです。ランニングは誰でも参加できるスポーツであり、大会に参加するには資格を問われることはありません。あくまで自己責任において参加し、「もし事故が起きても主催者には迷惑をかけません」といった誓約書を書いて参加を申し込みます。
ということで、日頃練習不足の人や当日体調不良の人、潜在性心疾患や高血圧等の病気をもった人も参加している可能性があります。よって大人数の集まる大会では事故がおきても不思議ではないと思います。大会主催者は参加者に事前に健康診断など受けて、万全の体調で望んでくださいと呼びかけていますが、ほとんどの参加者はメディカルチェックを受けずに参加していると思います(私もそうですが)。主催者は大体スポーツ保険(傷害保険)に加入をしています。しかし、マラソン中の心臓突然死の場合、これは病気として扱われ、スポーツ保険は適用されないと聞きました。
これに関連して面白い文献を発見しました。
「超長距離マラソン出場者のプロフィール」というタイトルです。1994年のサロマ湖100kmマラソン参加者1984人(男性1705人、女性279人)のうち協力が得られた男性297人(平均41.5±10.1歳)を対象としたアンケート調査です。ここでも参加者の年齢は40歳代がピークで、次いで30歳代、50歳代となっています。
月間走行距離は10km〜1215kmとなっています。平均は327kmでした。この中で1000km以上のランナーがいるというのも驚きですが、10kmしか走っていない人でも参加しているという事実があります。
職場などで定期健康診断の受診率は81.0%ですが、大会前の自主的な健診受診率は23.2%と低かったそうです。
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