マラソン中の突然死
●実技型運動負荷心電図の実際 ウルトラマラソンNo.1
100kmマラソン
@ 飛騨ウルトラマラソン(2003年5月25日)
A 奥熊野ウルトラマラソン(2003年4月27日)
B にちなんおろちマラソン(2003年6月22日)
2003年5月25日 飛騨ウルトラマラソン 100km
NHK朝の連続ドラマ「さくら」で有名になった飛騨古川を含む100kmコースを走るウルトラマラソンにて心電計を装着してその記録を行った。高低差が約1200mもあるハードな山岳マラソンである。スタートは午前5時。制限時間は14時間である。私は急な上り坂は歩いたりして、13時間37分で完走した。心電図の記録は前日の午後9時52分から大会当日の午後7時13分までの21時間10分である。
【心電図の自動解析】
ホルター心電図の自動解析により各時刻の全心拍数、最小・最多・平均心拍数、心室性期外収縮数等のデータが報告される。今回の私のデータは心室性期外収縮数は自動解析でなく、圧縮心電図より自分で確認できた数をカウントした。
時刻 | 心拍数 最小値 |
心拍数 平均値 |
心拍数 最大値 |
心拍数 総数 |
心室性 期外収縮 |
---|---|---|---|---|---|
0:00 | 42 | 49 | 75 | 2968 | 0 |
1:00 | 41 | 47 | 72 | 2809 | 0 |
2:00 | 41 | 55 | 127 | 2629 | 0 |
3:00 | 70 | 98 | 125 | 5510 | 0 |
4:00 | 65 | 98 | 145 | 5625 | 0 |
5:00 | 126 | 168 | 176 | 9921 | 0 |
6:00 | 157 | 165 | 175 | 9740 | 0 |
7:00 | 153 | 170 | 179 | 9996 | 0 |
8:00 | 139 | 168 | 178 | 9901 | 0 |
9:00 | 133 | 167 | 179 | 9776 | 1 |
10:00 | 131 | 158 | 176 | 9297 | 0 |
11:00 | 132 | 161 | 174 | 9450 | 0 |
12:00 | 136 | 162 | 175 | 9505 | 0 |
13:00 | 134 | 160 | 172 | 9384 | 0 |
14:00 | 116 | 141 | 163 | 8309 | 0 |
15:00 | 124 | 151 | 165 | 8837 | 5 |
16:00 | 103 | 128 | 153 | 7523 | 65 |
17:00 | 110 | 135 | 155 | 7943 | 17 |
18:00 | 89 | 118 | 141 | 6897 | 24 |
(注:原因不明の瞬断が2時52分頃から3時2分頃までありました。よってその時間帯の心拍数がカウントされていません。2:00の心拍数総数が2629と少ないのはそのためです)
【圧縮心電図の実際】
午前2時から30分間の心電図である。RR間隔は規則正しくない所が多い。Wenckebach周期の房室ブロックが多発している。平均心拍数は45前後である。十数秒ごとに加算平均した心電図波形を、1ブロック5分間にわたって重ね書きし(スーパーインポーズ)、その重ね書きした波形を圧縮心電図の左側に表示している。
マラソン開始時の午前5時から30分間の記録である。平均心拍数は160前後である。不整脈は消失している。
マラソン終盤の16時30分から17時までの心電図である。平均心拍数は130前後と低下し、所々で不整脈がみられる。
【心電図実記録】
圧縮心電図から異常所見のある個所を通常の速度(2.5cm/s)、電位(0.1mv/mm)で実記録したものである。上段2つの心電図は8時39分、下段の2つは9時27分の記録である。チャンネル1と2の2つの誘導記録である。心拍数は160前後である。下段には1個不整脈(心室性期外収縮)がみられる。
【トレンドグラムによる表示】
トレンドグラム方式はRR間隔(心拍数),ST変化などを時間経過に従って1枚の記録用紙にグラフで表示する方法である。上段の心拍数にご注目ください。私はこの日3時頃起床した。この時心拍数が100前後に増加、AM5時からマラソンを開始するとそれは160〜170にと急上昇している。後半は歩きを交えるようになったので、徐々に心拍数は低下気味となる。
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