調査と研究

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マラソン中の突然死

●実技型運動負荷心電図の実際  10kmマラソン大会

2003年7月27日 大川原高原マラソン(徳島県)

標高約1000mにある大川原高原マラソンにおいて心電図記録を行いました。高原ゆえ幾分涼しさはありますが、真夏の大会であり、マラソンとしては過酷な気象条件下で行われます。そして、コースはアップダウンばかりで平坦な所はほとんどありません。10kmの大会としては自己記録の更新を狙えるようなマラソンではありません。

今回私と37歳の高速ランナーのAさんの2人で心電図計を装着しました。同じ大会で速いランナーと私の心拍数や心電図とを比較してみました。

☆症例@

49歳男性(私)、完走時間は54分17秒、心電図記録時間は6時40分〜11時31分

10時30分スタート時(ここから300m程度急坂を下る)の心拍数は138、約5分後(下りの下りの終了後上りとなる)それは192に上昇した。以後ゴールするまで心拍数は190前後、最大値は202/分。不整脈はなく洞性頻脈。自覚症状は旧ボルグ指数の17(かなりきつい)程度。マラソン終了後直ぐにスタート地点に戻った。ゴール地点からスタート地点までは上りの急坂約300mを歩いていった。その時の心拍数は166〜170程度。不整脈はなし。

圧縮心電図記録 (10時30分〜11時0分)

☆症例A

37歳男性、完走時間36分45秒、心電図記録時間は9時7分〜11時37分

10時30分スタート時の心拍数は107、5分後には182となる。以後ゴールまで182〜187、最大値は192/分。不整脈はなく洞性頻脈。自覚症状は旧ボルグ指数の17程度。Aさんはゴール地点でしばらく休憩していたせいか、ゴールした時間の11時7分ぐらいから急激に心拍数は低下していた。100〜110前後で推移していた。マラソン終了後も不整脈はなし。

圧縮心電図記録 (10時30分〜11時0分)

☆2人の比較

自覚症状では2人共大体同じ程度の運動負荷(旧ボルグ指数で17程度)でした。スタート時の心拍数から差がありましたが、下り坂が終わり上りに差し掛かると急激に心拍数が上昇しています。以後下りも幾分ありましたが全体的に同じような心拍数で最後まで経過しています。Aさんはラストスパートしたそうですが、さほど心拍数に変化はありませんでした。ゴール後急に運動を中止したAさんは心拍数が急激に低下しています。しかし、平常時よりはかなり速い/分以上の心拍数となっています。私の場合、ゴール後すぐに急坂を上っていきましたが(歩いて)心拍数は160/分以上の高値を示していました。なお、今回の10kmマラソンの運動負荷心電図では2人共不整脈はみられませんででした。 

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